香港への海外出張は、多くのビジネスパーソンにとって珍しくない経験の一つかと思います。香港への海外出張としての入国には時と場合によりビザの取得が必要になります。この記事では、どのような場合にビザの取得が必要か、またビザが必要な場合に取得するべきビザの概要などについて詳しく解説していきます。
観光目的や報酬が伴わない出張、香港イミグレーションが定めているノービザで行うことのできるビジネスの範囲内での滞在であれば香港への入境はビザなしで最大90日間可能になります。しかし、手当てが発生する香港への海外出張や長期での出張の場合には就労を行うためのビザの申請、取得が必要になります。香港イミグレーションが定めているノービザで行うことのできるビジネス範囲の例としては商品プレゼンテーションに出席する、短期間のワークショップやビジネスミーティングに参加するなどがあります。ただし、言葉の表現が不明瞭で判断が難しい場合が多いのでご自身で判断するのではなく一度香港イミグレーションやビザのプロに確認する方が賢明です。
香港イミグレーションは不法就労に対して、過去の判例に基づき厳罰で対応しています。不法就労で有罪判決になると、基本的に執行猶予は付かず、即実刑となるケースがほとんどですので、出張ベースでの数日間の仕事であってもご自身で判断をしてビザを取得しないことは非常に危険です。実際に日本人の方も逮捕されたケースが何件もあります。香港の法律では、不法就労者に対しては最高罰金5万香港ドル及び2年の禁固(香港入境条例第41条)、不法就労させた雇用主に対しては最高罰金35万香港ドル及び3年の禁固(香港入境条例第17I条)と定められています。香港でビジネス活動を伴った出張を行う場合は、手当ての有無や期間にかかわらず、ビザを申請し取得するようにしましょう。香港への海外出張でビザが必要となった場合には、「短期就労ビザ」を申請して取得することが一般的です。短期就労ビザは、飲食店の開店支援を行なったり、店内で接客作業を行なったり、デパートの物産展で顧客に対して商品や金銭の受け取りを行うようなビジネス活動を行う場合に取得が必要になります。
ビザ取得の条件として、一定以上の学歴や、過去の経験を活かすことができローカルスタッフでは補うことができない仕事内容であることなどがあります。短期就労ビザを申請する手続きとしては、申請者は香港の移民局や領事館から適切な申請フォームを入手し、必要な書類と共に提出する必要があります。申請書以外の書類として、パスポートのコピー、最終学歴証明書、香港への海外出張証明書などがあります。短期就労ビザを申請してから取得できるまでの日数は平均で1ヶ月ほどですが、余裕を持って出発の1.5ヶ月前には申請を行うことを推奨します。また、短期就労ビザは名前の通り香港で短期間のビジネス活動を行う際に取得するビザですが、入国回数に制限のない「Single Journey」ステータスを保持している場合には延長をすることができます。
しかし、それ以外の「Multiple (Double、 Triple等) Journey」ステータスを保持している場合は延長をすることはできません。ビザシールを見ることでご自身が保持しているステータスの確認をすることができます。ビザの延長は、初回のビザ取得時と状況が変わっていなければスムーズに行うことができます。ビザ有効期限日の4週間前から延長手続きができ、通常は初回のビザ取得時と同じ条件でビザの延長がされます。
総括すると、香港へのビジネス活動を伴う海外出張にはビザの取得が欠かせません。プロに相談するなどもして短期就労ビザの申請手続きを正確に行うことでスムーズで成功した出張を実現することができます。出張者は事前にビザの要件を十分に理解し、準備を整えることが重要になります。