香港はアジアの経済拠点として、多くの外国人労働者や移住者を受け入れている都市です。その中でも、フィリピン人は特に多くの割合を占めています。香港で暮らすフィリピン人の多くは仕事や家庭の支援のために渡航しています。活動内容に応じて取得するビザの種類が異なります。フィリピン人が香港で暮らす際に取得する主なビザの特徴を見ていきましょう。
香港で暮らすフィリピン人が最も多く取得するのが家庭労働者ビザ(Foreign Domestic Helper Visa)です。このビザはヘルパービザと言われることが多いです。これは、主に家事や育児、高齢者の介護など、家庭内のさまざまなサポートを担当する外国人労働者のためのビザです。香港では生活に、ヘルパー文化が深く根付いており、雇用主と家庭労働者(ヘルパー)の関係が日常生活の重要な部分を形成しています。この文化背景から数多くの外国人家庭労働者が登録されており、そのうち半数以上がフィリピン出身者とされています。ヘルパービザの主な条件として、雇用主と家庭労働契約を結ぶこと、香港政府の定める最低賃金以上を受け取ること、雇用主が住居を提供することなどが挙げられます。雇用主の条件として月収が一定以上(通常15,000香港ドル以上)であること、申請時に住居提供が可能であることを証明することなどが挙げられます。そして具体的な労働条件は次のようになります。契約は通常2年間で、更新が可能です。雇用主との契約書には、業務内容、給与、住居提供などが明記されています。給与は、香港政府が最低賃金を定めています。(例: 2024年時点で約4,730香港ドル)住居は、雇用主の家で住み込みで働くのが一般的です。休日は、週に1日の休日が法的に保証されています。多くのヘルパーはこの休日を活用して他のヘルパーとの交流を行っています。ヘルパービザ取得後の義務として、雇用主以外での就労は禁止されており、契約内容を守らない場合、雇用契約の終了やビザの取り消しにつながります。
エンタメビザ(Entertainer Visa)を取得して香港に滞在するフィリピン人も数多くいます。エンタメビザは、香港での短期的または長期的な芸能活動を希望する外国人に適用されます。対象となる活動には、音楽パフォーマンス、舞台演劇、映画出演、ダンスショーなど、さまざまなエンターテイメント分野が含まれます。エンタメビザが取得できる対象者は、歌手、ダンサー、俳優、モデル、コメディアンなどのエンターテイナーまた舞台スタッフや裏方(例: 振付師や演出家)が該当する場合もあります。活動内容としては香港でのコンサート、舞台、イベント出演などが挙げられます。申請条件としては、スポンサー(香港の企業またはイベント主催者)を通じた申請、明確な雇用契約または活動計画が必要となります。また、活動が香港の雇用市場に不利益を与えないことも重要な申請条件の一つです。エンタメビザを取得した外国人は、ビザ申請時に許可された活動に限定して労働することが義務付けられます。許可されていない活動や、別のイベントに無許可で参加することは違法です。ですので、追加の出演や雇用契約変更がある場合には事前に香港イミグレーションの許可が必要となります。エンタメビザの有効期間は、活動の長さに応じて決定されます。通常短期活動の場合は、数日〜数週間の有効期間、長期活動の場合は、最大1年まで(更新可能)有効とされています。エンタメビザは通常、家族の帯同を前提としていませんが長期滞在の場合は配偶者や子供の帯同が可能になるケースもあります。この場合別途家族ビザの申請が必要となります。追加のビザでお困りの際は、ビザ専門家の力を借りながら申請を進めて行くこともおすすめします。
香港で暮らすフィリピン人が取得するビザは、活動内容や目的に応じて多岐にわたります。ヘルパービザは、香港の日常生活を支える重要な役割を果たし、多くのフィリピン人が取得するビザです。エンタメビザは、香港で芸能活動を行う外国人にとって必要不可欠なビザです。申請には、スポンサーや明確な契約が重要であり、活動範囲を限定する条件が付与されます。ビザ取得後も労働条件を守り、違反がないよう注意しましょう。特に、ビザの有効期間や活動内容の変更については、適切な手続きが必要になります。